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まくの細道  narrow way between noise & pop
 

  ノイズとポ                                                       ノイズとポップのはざまを抜けて

                 〜ノイズ音楽家いとう まく の雑音談義 その1

 

 

雑音楽家・伊藤まく(ITO)が、つれづれなるままにしたためる雑文のあれこれ。今回は、「J.o'rourke/Eureka」を   好き勝手にレヴュー。お暇ならキてよね。    Essay and random review written by Mac ITO,  japanoisician.

 

 

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久しぶりに垂れ流すことにしました(苦笑)。 チョー無責任らんだむ・れヴゅー。今日(きょうび)エンタメいろいろあって目移りするけど、やっぱ音楽だよね、ってわけで。やっぱり、音楽が語りたいんすよ。「ファン」だから (ファン心理、もっといえばミーハー心理って、人間を動かす大事なファクターだと思ってます。 ヘイワボケなだけかもしれないけどね)。  

もしかしたら、もう少ししたら映像+音楽のスタイルが一般化して、 オールドタイミィ??と冠がついちゃうかもしれない純・音楽メディア(って、CDのこってす)中心に。 あれこれ雑談しようかな、と。 別にオールドスクールだけでいくわけじゃありませんけど (余談ですが、バンダナに象徴されるヴィンテージ・ロックのイメージ、性分にあわなくて。AERA増刊とかあの辺・・・べつにクラプトンとか、フツーに好きですけどね)。

で、金太郎飴みたいなもんで、どこから始めてもいいんだけど。 ジャパノイズ? グリッチ? ハードミニマルテクノ? オルタナティブ?  サイケデリック? ジャーマンロック? ・・・・意匠はそれぞれまったく異なっても、本質は、まー同じよーなもんだし??(ほんとかよー)

「良いものもある、悪いものもある」(今は昔、スネークマンショー)じゃないけど、 「赦(ゆる)せるものもある、赦せないものもある」かな〜???   で、えいや〜っで、アトランダムに、このDISC。

 

「ジム・オルーク/ユリイカ」  J.o'rourke/Eureka 

 

今では一種の定番となってしまっている感がありますが、 現在の地点から振りかえって( 91年作品) やっぱエポック・メイキングな作品だといわざるを得ないかも。

具体的な細部を挙げれば、たとえば7曲目のイントロのほんの数秒間のセンスとか、 エレクトロニカ、トランスソニック、音響系、グリッチ、はたまたノイズ!といわれる、「あの音」が、 ポップミュージックにひそやかに、奥ゆかしく適用された元祖、先駆的な音創りになっている。

ここから、ジョン・オヘイガン〜ハイラマズ、ジョン・マッケンタイアやステレオラブを通り抜けて(シカゴ音響派! みんな同時進行ですけどね)、 たとえばヒューマンオーディオ・スポンジあたりまで、 まっつぐにつながっている。 拡大再生産、といったらちょっといいすぎだけど。

                                                                                しかし、そういう細部のマニアックな創りはあるのだけど、 音全体をさーっと聴いたときの最初の印象は、あ、バン・ダイク・パークスじゃん、でした。

歌の作り、編曲、演奏の手触り、どれをとっても、 良きアメリカ音楽、「幻想の」良きアメリカ、がそここから聴こえてくる。 ソング・サイクル、Discover America(バンダイクのアルバム・タイトル)・・・。もちろん、その実、裏に隠された人工感がずっと新しめ、なんですが。

                                                                                     しかしその後のポップ音楽でのエレクトロニカの応用・展開とはまだまだ温度差?がある。 たとえば4曲目などは、一部で電子音響が良い味を出しているものの、全体としては、スタジオでピアノを弾き、弦の譜面を書いて指揮して演奏し、 ドラムを叩き、コーラスを入れ、卓のフェーダーを上げ下げし、といった、 まっとーなスタジオ音楽の一連の作業を、きちんと行っている(よーに聴こえる)。

                                                                                      別にリチャードDジェイムスのようにスタジオのDisplayの前にへばり付いてDSP/DAWだけを操作していたり (今のぼくの理想&現実の制作スタイルですけどね)、 ジェフ・ミルズのように超人的な技と深い思索でターンテーブルを同時に何台も回してたり、 リッチー・ホウティンのようにトロ(TR)の909だけをメインにイカれたビートを創ったり、 オウテカのように変態的な変拍子リズムをキめたり、という 制作スタイルを貫いているわけではない。                                                                            きわめて、真っ当なスタジオ音楽制作スタイルがまん中にド〜んとある(ま、今現在のぼくだったら、このテの曲を一から十までエレクトロニカ手法で制作してみたい、という欲望に駆られますけどね)。

                                                                                                                                                                         で、神が宿っている細部を点検していくとしましょう・・・ 2曲目の後半の、ペダルスティールギターと、オルーク本人が弾いているとおぼしきピアノの組み合わせがほんの数十秒見え隠れするあたりなどは、日本のフォークロック(この古色蒼然たる響き!)もかくやと思われる、大甘な展開。でもここは本人がそれこそがやりたいと思って演っているのだなと思って聴くと好ましい。

3曲目の後半のVoもバンダイクそのもの。グレートアメリカンソングス。5曲目もイントロのジャジイで軽快なフルアコ・ギター(おそらく本人が弾いている)の音や、弦アレンジ、コーラスこそが耳に残る。

                                                                                    余談ですが、ぼくがティーネイジャーのときに手にした二本目のエレクトリックギターは、 ウッドベースなどのアコースティック弦楽器で著名な国産メーカー、チャキ製のフルアコ・タイプ(!)でした。 何しろ当時のアイドルが、ウェス・モンゴメリー!だったもんで・・・。周り見渡してもギターといえばペイジやブラックモアやってる奴が多かったのに、変人少年音楽愛好家。

今でもライブなどでオクターブ奏法をたまに弾くのは、当時一生懸命練習した名残り(笑)。 耳と指が覚えてる。 その後ロック〜オルタナ系やりだしてからは、ずっとフェンダー系で通してる (メインはディマジオ・ハンバッキングをマウントした改造テレキャスター。 ヒスパニック系ギタリスト・Dスピノザの音に憧れてた)。 ま、フルアコでデレク・ベイリー気取るには、未熟だったし・・・。

でも今・現在は、ギターより、ピアノより、フィドルより、ラップトップが一番近しい「楽器」・・・・・ なんだけれども、このオルークの弾くギターの音聴くと、今またギブソン系セミアコとか手に取ってみようかな、って気にもなります。 ・・・誰も聞いていないひとりごとでした。

ちなみにオルークはヘンリー・カイザーとDUOしたりコワモテ・インプロ・ギタリストみたいな印象がありますが、ステレオラブのティム・ゲインなんかによると、実はデイブ・ギルモアあたりがアイドル・ギタリストだったりするらしい。またまた余談ですが、今度12/21のイベントで共演(ジャパノイズ・オールスターズでバックアップします)するマジカルパワー・マコさんのギターにも、デイブ・ギルモアゆずりのブリティッシュ・テイストを感じます。

                                                                                     6曲目は、まんまバカラック〜ハル・デヴィッドでないの。と思ったら、ほんまもんのカバーでした(笑)。 コーラスやホーンの使い方も含めて、 「サン・ホセへの道」 by ボサ・リオ、Produced by セルジオ・メンデスの世界です。で、このお上手な(笑)歌の路線は、そうですね〜敢えていえば、アントニオ・カルロス・ジョビンから、バート・バカラック、ヴァン・ダイク・パークス、 ニック・デカロを経て(あと、サカモトとか)、アート・リンゼイに至る??(この間、だいぶ距離があるな。笑)、 壮大なヘタウマ(失礼)ヴォーカル音楽史の一駒です。 これみんな、作・編曲に相当自信がある人たちだからこそ許される?、 普通だったらなかなか耳にできない歌の世界。 いやこれが、実際いい味だしてます。な〜んちゃって、みんなけっこううまいですけどね。

                                                                                      7曲目では長〜いEndingのゆったりした歌の背後のミニマルな電子音のうねりが耳に残る。 これはほとんどジャーマンロックの遺伝子。 ジャーマンロックが現代のノイズやテクノに残している影響は計りしれない。 6曲目でお上手な歌、なんて茶化したけど、8曲目ではファルセットまで使って歌い上げてて、 とっても良い味出してる。実はけっこう歌も上手い。なかなかこんな風には歌えない。

トランペットの連吹、コーラスの転調に音響的仕掛けが紛れ込んでいる。 ペットの連吹の二拍めからあとはサンプリング。この人口的な違和感がほんの少しだけ紛れ込むアレンジのセンス。ラストの9曲目は、1曲目と同じく、アコギの演奏がメインで、見事にきれいな円環が閉じる全体構成。 フィンガーピッキング奏法なんかで、端正に演じ上げている。

                                                                                                                       ところで、ジャケットアート(日本人イラストレーター・友沢ミミヨ氏)ですが、 たしかワールド・スタンダードの鈴木惣一郎氏が、「音は最高だけど、このジャケだけはどうも・・・」 みたいなことを書いてた記憶があるんだけど・・・。

でも、ぼくの意見は正反対。 この絵をジャケに選んだセンスはすんごい、と思ってます。 やはりIOS(ジム・オルークの在籍したノイズ・ユニット Illusion of Safetiness。安全幻想、日本流に言えば安全神話ってところか。) とかで、伊達にノイズやってきたわけじゃないって感じ。

このジャケを選んだことで、一聴チョー「甘〜〜い」(安達祐美さん、おめれろございます) 音楽世界の背後に隠された「毒」が、みごとなまでに宣言されている。それに、こんなところに日本人のサブカルイラストが出てきて、 プチ・ナショナリズムがひそかに鼓吹されたりして(ニッポン・チャチャチャ!笑)。

                                                                                                                                                                                  この手のいー加減な雑文書くのに、今のサイトで行くか、新たにブログ立ち上げようか、けっこー迷ってたんですけど。 とりあえずケツダンしました。自分の持ってるドメインを使おう、と。 今回は最初なので、自分にご祝儀で長い文章だったけど(ちょっと気張り過ぎ?)。 マメに書き継ぐ筆力ないので、次は半年後かもしれないし、一行かもしれないし。 あえて今ではオールドスクール?なウェブスタイルで行くことにしました。 それこそ、著作権の問題とかもあるし(笑)。

ま、とにかく、またまた、遠いパラダイスへ続く、細きイバラギの道を選んじゃいました (ここはトキオですけどね)。 

そーいうわけで??、アムロ、イきます!!                                                 (2005.11.26UP)

 

 
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(おしらせ)伊藤まく(ITO)ソロ・制作中

ゴリゴリのサイケデリック・ノイズで馴らしてきた伊藤まくが贈るソロワーク。ノイズでなおかつポップで、という無理難題、異次元連立方程式を本気で解こうとしている、ラ・マンチャの男は誰!?・・・マンチャって。

今、まった〜りと制作してま〜〜す。JAPANOISE RECORDSでスタンバイ。上の文章読んで、このシトちょっとだけイってる、と思った貴方は聴くべし。